Sympaを用いた社内メーリングリストシステム

弊社では、社内メーリングリストシステムとしてSympa(サンパ) [1] を採用しています。
Sympaは1995年以来開発が続いているメーリングリスト管理ソフトウェアで、現在はフランスの公益団体である技術・教育・研究全国通信網(RENATER)が開発をホストしています。ウェブインタフェースによるGUIをはじめとして多くの機能を備え、拡張性が高いのが特長です。

[1] “Sympa”の読み方は公式には決まっていません。英語風に「シンパ」でも、フランス語風に「サンパ」でもかまいませんが、弊社内では「サンパ」と呼んでいます。

導入の経緯

電子メールをコミュニケーションに用いる多くの組織がそうであるように、弊社でも、当初はエイリアスアドレスや、CC・BCCによる同報機能を用いていました。社外からの連絡のための代表アドレスはエイリアスとし、社内プロジェクトや請負のプロジェクトのための連絡は宛先を列記した同報メールで行っていました。

プロジェクトやそれに関わる人員が増えるにつれ、同報先に漏れがあって情報共有に支障が出ることも増えてきました。エイリアスは同報先の管理にシステム管理者権限が必要で、機動的な利用には向いていません。このため、アドレスの作成・廃止や同報先の管理が容易なメーリングリストサービスを整備することになりました。

ソフトウェアは、fmlやGNU Mailmanといった選択肢もあり得たのですが、最終的にSympaを選定しました。ポイントとしては下記が挙げられます。

  • リスト作成をはじめとしてほとんどの操作をGUIで行えること
  • ウェブインタフェースでも利用できる投稿保管庫(アーカイブ)機能があること
  • ソフトウェアの国際化の完成度が高いこと
  • S/MIMEやDKIMへの対応、シングルサインオン(SSO)システムとの連携など、エンタープライズ用途での要求にも応えられること
  • 垂直的なスケールアウトが可能であること

ただ、最終的に決め手になったのは「好み」だったように思います。筆者はここ数年、Sympaのコミット権限を持つ開発者として開発に関わっています。システムについての知見が多いほうが、導入やその後の運用も楽になります。

システムの概要

構成ソフトウェアは次の通りです(2015年10月現在)。

OSCent OS 6.7
MTA/MDAPostfix 2.6.6
HTTPサーバApache HTTP Server 2.2.15
メーリングリスト管理Sympa 6.2.9
RDBMSMySQL 5.1.73

社内外のコミュニケーションを担うメールシステムの一部であるため、Sympa自身以外は比較的「枯れた」コンポーネントを用いた無難な構成としています。

現在の弊社でのメーリングリストの用途は、3種類あります。

  • 社内のコミュニケーションや情報共有
    「コンバージョン ウェブサイト更改プロジェクト」のように、社内のコミュニケーションや情報共有の用途。
    読者(メーリングリスト会員)のみが投稿でき、読者のみに同報されます。
  • 問い合わせ窓口
    「サポートデスク」のようにお客様からの問い合わせを受け付けたり、請負プロジェクトでお客様からの連絡を受け付けることで、社内での情報共有を確実にする用途。
    だれでも投稿できますが、同報されるのは社内の読者に対してのみです。
  • メールニュース
    「OSSサポートサービスメールマガジン」のように、不特定または多数の人々にお知らせを送る用途。
    メーリングリストに届いた投稿はすべて一旦保留され、モデレータ権限を持ったユーザが承認するまで発送されません。
    またSympaの送信者秘匿機能により、発信者情報をメールニュースの公式な連絡先に置き換えてから発送します。

課題

課題として、水平的なスケールアウトがあります。現バージョンのSympaは負荷分散による冗長化での利用実績がないため、障害対策はバックアップリストア等の旧来の手法に頼るしかありません。今後の開発動向を見ながら実現していきたいと思います。

また、現在は安定性のために保守的なソフトウェア構成としてきました。
が、4年近くの運用で安定稼働のノウハウも蓄積されてきましたので、今後は思い切って、ウェブサーバにはnginx、MTAにはHaraka……などといったふうに、新興のコンポーネントを利用することも考えていきたいと思います。

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